フー・アー・ユー?

フー・アー・ユー ? [DVD]

TSUTAYA韓国映画コーナーで少し悩んだ末にこれにした。
で、当たりでしたよ、奥さん。

出会い系オンラインゲームの開発者の男が、ひょんな事からこのゲームに参加する女性と、現実世界とバーチャル世界で同時進行的に関係を深めていく。彼女は相手が同一人物だとは知らない。挫折から立ち直れず殻に閉じこもり生きる彼女は、ゲームの中での関係に居心地の良さを感じ、彼は現実(リアル)の自分の方を向いてほしいと思う様になり、仮想空間の自分に嫉妬する様に…

ストーリーはありがちな感じなのだが、片方を“ゲームの参加者”ではなく“開発者”という設定にしたこと、また、もう一方の側(女性)が仮想現実に逃げ込みたくなる背景を丁寧に描いていることなどが、この作品に奥行きと説得力を与えている。また、幾つか、ぐっと持って行かれる山場が用意してあるのだが、確かな演技力がそれをきちんと成立させている。

主人公が大企業のエリートではなく、ネットビジネスのベンチャー(まだ成功していない)という設定もなかなか面白い。開発者である彼は、ネット上の相手(自分であるわけだが)に熱を上げ始める彼女に「そいつはナンパ目的の奴かもよ。信頼するな。俺たちはそれで儲けてるんだからさ」という様な話をする一方で、ゲームの中で率直な思いを語る彼女に耳を傾け心を通わす事を辞められない。なかなか皮肉が効いていて面白い。

もう一つ、効果的に使われる韓国のポップミュージックが非常にいい。浮遊感のあるロックが随所に使われ、サントラがあるのならぜひとも聴いてみたくなった。