一度ロスへ行ってみたい。

 昨日、LAを舞台にした映画「クラッシュ」が素晴らしいと書いた。今日はLA出身のヒップホップアーティスト、ブラック・アイド・ピーズ(以下BEP)というグループをオススメしたい。03年に発売された「エレファンク」、05年に発売された「モンキービジネス」2枚のアルバムがバカ売れしたので、ヒップホップに明るくない人も一曲くらいは聴いた事のある曲があるかもしれない。もともとはアフリカン・アメリカンのウィル、フィリピン系のアップル、ネイティブ・アメリカンのタブーの男3人で活動していたが、前記の2作からは金髪美女のファーギーがメンバー入りしている。

 アルバム収録曲は肌の色同様、まさに色とりどりのバラエティに富んだ曲たちで、一曲ごとに様々な顔を覗かせ、アルバムを通して聴くと世界旅行をしたかの様な満足感が得られる。来日公演は見逃しているのだが、MTVで観たライブではステージ上を4人が本当に楽しそうに飛び跳ねていて、こちらまで楽しくなってしまう。フジロックのグリーンステージでぜひ観てみたいものだ。「エレファンク」最後の曲「where is the love」(日本盤はその後にボーナストラックが収録)は、素晴らしい楽曲。


この世の中一体どうなっちまってるんだよ、ママ
みんな自分達にはママがいないみたいにやりたい放題
世界中が揉め事に熱中してるんじゃねぇか
トラウマを生むような、そんなことにしか魅力を感じてないみたいじゃないか
海の向こうで、yeah、俺達はテロリズムを阻止しようとしてるけど
俺達の住むアメリカ国内にもまだまだテロリスト達がウジャウジャしてるじゃねぇか
名高いCIA、ブラッツにクリップス
それにKKK



もし自分と同じ人種しか愛せないというなら
差別することしか知らないんだろう
そして差別ってのは憎しみを生むだけなのさ
そして人は憎しみを覚えたとき、憤りだけを心に抱くのさ
怒りだけを表に出すようになるのさ
まさにそういうサイクルでこの世の中回ってないか?
ったく、愛ってのを忘れちまったのかよ、」誠実な愛を
自分の気持ちをコントロールし、静思するんだよ
魂で人を愛するのさ



(コーラス)
人は殺し合い、人が死ぬ
子供達は傷つき、子供達の泣き声が聞こえる
有言実行、自分の信念を態度で示すことが出来るかい?
それとも不誠実に生きるかい?
主なる父よ、主よ、主よ、われわれを助けたまえ
お導きを
みんなを見てると、考えてしまうんだ
愛はどこへ行ってしまったんだろうと...



何もかもが変わってしまった、全てが変わった
新しい世紀は何かがおかしいぜ
昔と一緒だというなら
愛と平和が大切だと言うなら
なぜ、ひとかけらの愛もこの世界に存在しないと感じるんだろう
国家が爆弾を落とし
小さい子供達の肺には毒ガスが蔓延し
今も進行している苦しみは、若い奴らは身だけじゃなく、心もまだ幼い
なぁ、自分自身に問いかけてみてくれよ、愛が本当に消えてしまったのか?って
何が間違ってるのか、俺も自分に問いかけてみるのさ
俺達が住むこの世界で何がまちがってるのか
人はみなすぐに諦めて
利益だけを考えて間違った選択をする
お互いを尊重することをせず
自分達の兄弟を否定する
戦争が続いても、なぜその戦争が起こったのかその理由は闇に包まれたまま
真実は闇の中
不都合なことは全て秘密にするってことさ
真実を知ることがないなら、愛を知ることなんて出来ないさ
愛はどこに行ったんだよ、なぁみんな、カモン、俺にはわからないのさ
愛はどこに行ったんだよ、なぁみんな、カモン、俺にはわからないのさ
愛はどこに行ったんだよ、なぁみんな


(コーラス)


世界が俺の肩にのしかかってるみたいだぜ
歳をとる毎に、みんな冷たくなっていく
みんなが興味を持ってるのはカネを生むことだけ
自分本位の考え方が俺達人間を間違った方向へ導いていく
メディアは間違った情報ばかりを流し
俺達の基準は全てネガティブなイメージで成り立ち
バクテリアの感染が広がるよりも早いスピードで若者達を洗脳していく
子供達は映画と現実の差がわからず、映画と同じ振る舞いをしたがる



人間愛の価値はどうなっちまったんだ
公平、平等ってのはどうなっちまったんだ
みんな愛をばら撒く代わりに
俺達は強い憎しみをばら撒き散らしてるのさ
団結する心を忘れさせているのさ
だから、時々俺は気分が滅入るんだよな
だから、時々俺は落ち込んじまうんだ
当然だよな、だから時々俺は気分が滅入っちまうのさ
愛が見つかるまで、俺はビートを鳴り止ませないぜ


クレジットを見るとこの楽曲は03年3月3日、米軍のイラク侵攻の二十日前に完成している。しかし歌詞を見る限りアフガニスタンへの報復だけでなく、大量破壊兵器を理由にしたイラク侵攻の不当性をも追求している様にも感じる。


以下のサイトで少しだけPVが視聴出来る。

http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/bep/discography.html


エレファンク